お気に入りのパン屋のラスク

お気に入りのパン屋のラスク

社会人になって一人暮らしを始めた頃、休日はよく散策に出かけ、可愛らしい雑貨屋や、カフェを見つけるのが楽しみの一つでした。

ある時、西欧風の建物を見つけて近づいてみると、パン屋さんでした。

小さい頃からパンも好きだった私は、昼食を兼ねて買って帰る事に決めました。

クリームパンやアップルパイ、クロワッサンがこんがりと良い色に焼けていて、目移りしてしまうほどでした。

10分ほど商品を見て回り、レタスとトマトが瑞々しいサンドイッチと、バターの香りが漂うクロワッサンを選んでレジに向かうと、透明なビニール袋にたっぷり入ったラスクが目に留まりました。

袋の口はピンクや黄色、水色のリボンで結ばれていて、手に取るとスタッフが「人気のフランスパンをラスクにしています。

お勧めですよ。」と話し掛けてきたので、一つ買う事にしました。

そのラスクの味は、優しい甘さで香ばしく、一口で気に入りました。

その後も休日だけでなく、仕事帰りにそのパン屋に行く事が私のリフレッシュ法になりました。

パン屋さんの工夫を知る

以前テレビの特集で、都内にあるパン屋が取材を受けていました。

中でもラスクを作るために、それに合った小麦粉を探し、食べ比べるなど試行錯誤を繰り返している姿に感銘を受けました。

それまで、ラスクは売れ残ってしまったパンの活用方法として作っているのだと思っていたため、情熱を傾けて作り上げる姿勢に、驚きと感動を覚えました。

バターを塗る量や、オーブンの温度設定などは、天気や湿度、季節も考慮しており、「いつでも同じ商品を提供したい。」というオーナーの高い意識を感じました。

そのひたむきな行動は、お客様にもしっかり伝わっており、どの人も口々に「ここのパンじゃないと、駄目なの。」、「家族みんな、このお店のラスクがお気に入りで・・・。」と話していました。

こだわりがつまったラスクです。

口コミでお客様が増え、リピーターになってお店がさらに活気づく、という構図がそのパン屋にはありました。

買い手からの視点だけでは見えないお店の工夫がわかり、非常に勉強になりました。